汎用人型決戦スパイダーマン
えーっと、前回の記事で、日本版スパイダーマンを紹介してみた。
それらのスパイダーマンも登場する、一大クロスオーバー作品『スパイダーバース』全3巻。しかしそれだけでなく、明らかに日本のアニメに影響を受けて描かれた、異色のスパイダーマンも登場する。
それが、「スパ//ダー」(書籍添付の解説書によると、スパィダーと発音する)だ。
- 作者: ダン・スロット,クリストス・ゲイズほか,ジュゼッペ・カムンコリ,アダム・キューバートほか,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2016/06/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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表紙の真ん中の上側、ビルの壁面を滑り降りてるエヴァンゲリオンみたいなやつだ。
ちなみに『スパイダーバース』、1巻は本編ストーリー、2巻はその前日譚、3巻はその他サイドストーリーで、池上スパイダーマンは3巻のエピソードで、スパイダーマン同士の会話「日本のスパイディで小森って奴に会った」「日本出身が4,5人はいそうだぜ」というセリフだけに登場する。
スパ//ダーは、1巻クライマックスの戦いに登場するが、その出自が語られるのは2巻である。
これがまたエヴァのパロディーになってて、スパ//ダー、14歳の少女ペニ・パーカーが操るパワードスーツという設定。ベンおじさんは碇ゲンドウみたいなヒゲ面だし、ネルフ本部みたいな基地があるし、使徒のような異形の怪物(正体はミステリオ)が街を襲ってたり、ペニのクラスメートが、綾波レイやアスカ・ラングレーっぽかったり、エヴァだけじゃなく、ギャング団の一味の中に、攻殻機動隊の草薙素子やバトー、AKIRAの金田みたいなのがいる。
まあ、日本のアニメの影響は、なかなか大きいなあということだけどね。
2巻と3巻は短編集はいろいろな話が入ってるけど、他にわたしが印象に残ったのは、2巻の、放射能蜘蛛に咬まれた少年が、蜘蛛の能力だけでなく、身も心も蜘蛛の怪物に成り果てる、ホラーテイストな話だな。
- 作者: ダン・スロット,オリビア・コワペル,ジュゼッペ・カムンコリ,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2016/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: ダン・スロット,スコッティ・ヤングほか,ウンベルト・ラモス,ジェイク・パーカーほか,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
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日本のスパイダーマンあれこれ
映画『スパイダーマン』全3作に、『アメイジング・スパイダーマン』全2作と、計5回単独映画化されたスパイダーマンだが、『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』(2016年)で、マーベル・シネマテック・ユニバース(以下MCU)入りし、そのMCU単独作品(アイアンマンも出てるけど)『スパイダーマン・ホームカミング』(2017年)の日本公開も、8月11日に迫ってるが、わたしがスパイダーマンを知ったのは、やっぱり1978年テレビ放映された、東映制作の特撮ドラマ『スパイダーマン』だろう。
悪の組織「鉄十字団」率いるモンスター教授に科学者の父を殺された青年・山城拓也が、モンスター教授を追って地球に来たが力尽きたスパイダー星人・ガリアより与えられた能力でスパイダーマンに変身し、戦うというお話。
クライマックスは、なぜか敵怪人が巨大化し、スパイダーマンが宇宙戦艦マーベラーを呼び出し、それに乗り込むと、巨大ロボットレオパルドンに変形、必殺技ソードビッカー(右足に収納されてる剣を抜いて投げつける)で瞬殺する。
巨大ロボットが敵怪人にとどめを刺す、というのは、その後スーパー戦隊シリーズに受け継がれているわけだが、その元祖がこの東映スパイダーマンだ。
実はその前年にスパイダーマン、アメリカでもTVドラマ化されてるんだが、それがなんかの洋画劇場枠で放映されたのを観て、初めてスパイダーマンが(スーパーマンみたいな)アメリカのヒーローだと知った。
さらに1970年、スパイダーマンは日本でマンガにもなっていた。作画は池上遼一、途中から平井和正が脚本に参加。平井先生は自身の短編小説からネタを持ってきたり、逆にスパイダーマンに使ったネタを、アダルト・ウルフガイに持っていったりした(アダルト・ウルフガイにはエイトマンが元ネタの話もあるが)。
高校生小森ユウが、放射能蜘蛛に咬まれてスパイダーマンの能力を身につけるという、出だしは原作準拠で、エレクトロ、リザード、ミステリオと、原作のヴィランも登場するのだが、とにかくよりダークにアレンジされていて、全く救いのないストーリーが展開する。
この作品を知ったのは中学生の頃、平井先生の作品、『幻魔大戦』『ウルフガイ』『ゾンビハンター』などを読んで、これらの作品、元はマンガ作品であり、かつて平井先生はマンガ原作者としての活動もあり(一番有名なのは『エイトマン』だろう)、その中に、スパイダーマンもあった。実際に読んだのはそれから長い年月が経ち、1995年に2回目の復刻版が出てからだが。この時の帯には、「ジェームス・キャメロン監督で映画化」と書かれてたけど。
後はまあ2004年、山中あきら『スパイダーマンJ』というマンガ作品があるけど、掲載誌が児童向けマンガ誌コミックボンボンだったし、わたしは読んでないけど。
まあスパイダーマン、昔から日本でも人気のある作品だったということだろう。
そして2014年には、多元宇宙のスパイダーマンが一堂に会して強敵と戦うアメコミ『スパイダーバース』が描かれたが、その中にも東映スパイダーマン(とレオパルドン)やスパイダーマンJも参戦している。池上スパイダーマンは名前しか出てこないけど。