或る独りのろまんてぃすと

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最強の近接戦闘術?「ガン=カタ」

キアヌ・リーブス主演のアクション映画『ジョン・ウィック』(2014年)、そして続編『ジョン・ウィック キャプチャー2』も公開されたが、この映画、やはりヒットの理由は、ガンアクションとカンフーを融合させた、“ガン・フー”アクションだろう。拳銃による近接戦闘術に体術を組み合わせ、隙のない攻撃で敵を次々と屠っていく、なんというか極めてタイトな印象を与えるアクションだった。

しかし、キアヌといえば『マトリックス』(1999年)で見せた、けれん味あふれるアクションも捨てがたい。何しろ仮想空間内の闘いだから、物理法則を無視したあり得ないアクションもおもしろい。

まあ、香港映画『男たちの挽歌』(1986年)、『男たちの挽歌Ⅱ』(1987年)で見せた、2丁拳銃を縦横無尽に撃ちまくるアクションから発展した殺陣だが、このけれん味あふれるアクションの極北と言えば、

ガン=カタ

だろう。

ガン=カタ」とは、カート・ウィマー監督、クリスチャン・ベール主演のSF映画リベリオン』(2002年)に登場する、架空の格闘術である。

2丁拳銃を用い、統計から基づく相手の動きや銃口の向きを察知し、常にその死角に回り込みながら攻撃する。従って敵の銃撃は当たらず、こちらの銃撃や打撃を一方的に当てることができる。シューティングゲームで言うところの安地(弾の飛んでこないとこ)を見極めつつ攻撃するみたいなものですな。

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この『リベリオン』、物語はこうだ。第三次世界大戦後、感情が争いを生むということから、国民は感情抑制剤の服用を義務づけられ、感情を刺激する、音楽・絵画・文学といった芸術作品は禁止されていた。そしてそれらに逆らう者たちは、「感情違反者」として、特殊捜査官「グラマトン・クラリック」の摘発を受ける。この「グラマトン・クラリック」が使う戦闘術が「ガン=カタ」である。主人公プレストン(クリスチャン・ベール)は、「グラマトン・クラリック」の職務をこなすうち、同僚のバートリッジが「感情違反者」となり、さらに「違反者」の女性メアリーとの出会いをきっかけに、この社会に疑問を持っていく。

ストーリーだけ追うと、ジョージ・オーウェル1984』や、レイ・ブラッドベリ華氏451度』を思わせるディストピアSFなんだが、その重苦しさを打ち破るのがこの「ガン=カタ」だ。

クライマックス直前、メアリーが処刑され(焼却炉で焼かれる、まさに焚書のイメージ)、プレストンも逮捕されるが、感情を爆発させたプレストンが反撃、最後はやはりガン=カタ使いでもある独裁者との一騎打ちとなる。

しかし、あんな至近距離で互いに拳銃撃ちまくっていたら、耳がどうかしそうな気もするが(上に張ってるムービー参照)。

とにかく、現実離れしてるが、要所要所で拳銃にリロードする細かい描写もあり、戦闘後謎の決めポーズあり、やたらかっこいいのはたしかである。

ウィマー監督の次作、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演『ウルトラヴァイオレット』(2006年)では、「ガン=カタ」をさらに発展させたアクションを見せたが、興行的に不入りに終わったせいか、このアクションの系譜は途切れてしまった。近年のアクションはもっとリアル指向になってるところもあるし。まあ、それもいいんだけど、もうちょっと、映画ならでは超現実離れしたアクションも観たいね。

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