或る独りのろまんてぃすと

思いついたことを、支離滅裂に書く

『君よ憤怒の河を渉れ』リメイクというか、なんか『狼ー男たちの挽歌最終章』っぽいぞ

少し前、2月9日に公開された映画『マンハント』。

全編大阪を中心に西日本でロケを行い、福山雅治(意外に刑事役は初めてらしい)も出演しアクションに挑戦した佳作である。

原作は、1974年に書かれた西村寿行作『君よ憤怒の河を渉れ』と、その高倉健主演の映画版『君よ憤怒(ふんど)の河を渉れ』(1975年)となってるが、これがまた見事にジョン・ウー監督の色が濃く出た、ベタすぎるくらいジョン・ウー映画になってたんだな。

オリジナルの『君よ憤怒の河を渉れ』にしても、健さんが(着ぐるみの)熊と闘ったり、新宿を馬が暴走したり、わりとトンデモなシーンもあるけど、まあ西村寿行の作品だから動物くらい出るだろうみたいな感じで、子供の頃、北海道で主人とはぐれた主人公の犬が、帰巣本能で東京に帰る途中、殺人事件に巻き込まれるというストーリーの作品『黄金の犬』をテレビドラマでを観てたような憶えがある。

それはさておき、『マンハント』は原作よりか、ウー監督の『狼ー男たちの挽歌最終章』に似てる気がした。

ウー映画で、初めて鳩が飛び交うシーンが出てきた作品で、殺し屋(チョウ・ユンファ)と刑事(ダニー・リー)が、追う者と追われる者の立場を越え、友情が芽生えるところが、なんとなく思い起こされる。

無実の罪で警察に追われることとなった弁護士ドゥ・チウ(チャン・ハンユー)、そして彼を追う刑事矢村(福山雅治)、キーパーソンとなる謎めいた美女真由美(チー・ウェイ)が、大手製薬会社天神製薬の陰謀に巻き込まれて…

と、ストーリーはさておき、この映画はひたすらジョン・ウー監督の様式美化されたアクションを楽しむもので、あまり細かいことは気にしないのがいい。

だいたい日本国内で、あんな大銃撃戦が勃発してたら、とんでもない大騒ぎになるぞ。たとえ相手が短機関銃武装してるからといっても、それを民間人である主人公も拳銃とか撃ってたら、いくら緊急避難の正当防衛と言えなくはないが、事件後は絶対逮捕されるぞ。

 しかし、女殺し屋レイン(ハ・ジウォン)の相棒ドーン(アンジェルス・ウー)は初見、女芸人かなんかと思ってしまったが、ウー監督のお嬢さんだったと知って驚いた。たしかに父親に似てる。

主人公をかくまうホームレスの老人役で、倉田保昭が出てたけど、ただのカメオ出演かと思ったら、終盤で、肉体が強化されるが凶暴になるクスリを打たれて大暴れ。黒幕の社長(國村隼)の息子(池内博之)も、自らクスリを打って大暴れ。原作の熊に相当するシーンなのか。

とにかく、鳩・二丁拳銃・メキシカンスタンドオフ・友情と、ジョン・ウーのエッセンスが詰まった、楽しい作品だ。

君よ憤怒の河を渉れ (徳間文庫)

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