或る独りのろまんてぃすと

思いついたことを、支離滅裂に書いてる

『20億の針』、いや『星からきた探偵』やろ、『宇宙人デカ』ともいうけど

 子供の頃から読書好きだった。

最初に読んだのは絵本なんだろうけど、まあ『機関車トーマス』なんかはわりと憶えてる。

小学生くらいには、まあ定番のポプラ社版名探偵ホームズをよく読んでたなあ。

その後、新潮文庫版のホームズも読んだ。

でも、怪盗ルパンは、あまり読んでない。

ホームズは短編が多く読みやすかったけど、ルパンは長編が多かったんで、なんか読むのがしんどかったんだろう。

長編を読むようになったのは、ホームズと同じ、コナン・ドイル『失われた世界』からかな。

これが、児童向けSF叢書である、岩崎書店刊SFこども図書館シリーズの一冊で、以後そのシリーズの作品をいくつか読むうち、SFにハマることになるのであった。

 それで、一番印象に残ってるのが、ハル・クレメント『星からきた探偵』(1950)になるわけで、いやこれ、ほんとに好きだった。

母星で犯罪を犯した「ホシ」を追って、地球にたどり着いた「デカ」。

彼らは、他の生命体の体内に共生して生きる知的生命体で、「ホシ」はこの地球でも、地球上の生命体の体内に潜伏してるだろう、そう考えた「デカ」は、たまたま出会った少年ボブの体内に潜入し、ボブと協力して「ホシ」の捜査を開始する。

まず序盤の、「デカ」がボブに自分の存在を知らせ、協力を仰ぐために四苦八苦するところが面白い。

この異星人は、ある程度宿主の肉体を操ることが出来るが、いきなりそれをやると、宿主にショックを与えることになる。実際コミュニケーションに失敗して、ショックで転倒したボブに大けがさせたりしたが、異星人には、宿主の傷口を一時的にふさぎ止血するぐらいの応急処置は出来るので、大事には至らかったのだが。

結局、睡眠中のボブの手を操って、手紙を書くことで、どうにかコミュニケーションをとることに成功した「デカ」は、ボブとともに「ホシ」の捜査に取りかかるのであった。

この、SFこども図書館版は1976年刊だが、それ以前には、1967年刊のエスエフ世界の名作シリーズの再版で、そのときのタイトルは『宇宙人デカ』、現在は、冒険ファンタジー傑作選シリーズで読める。内容は同じ。一般向けでは、創元推理文庫で、『20億の針』のタイトルで刊行、昨年新訳で再版されている。

地球人と宇宙人が協力して事件に立ち向かう物語の、パイオニア的作品であり、現在に至るも多くのフォロアーを生んでいる。

映画『ヒドゥン』(1987)なんか、次々と地球人の宿主を替えて凶悪犯罪を犯す寄生宇宙人の犯罪者を追う、宇宙人の刑事(と、コンビを組む地球人刑事)の物語と、明らかに元ネタにしてるし、夢枕獏大帝の剣』(1986~2011)も、敵味方にそれぞれ共生型宇宙人が出てくるどころか、宇宙人が瀕死の佐々木小次郎の体内に入るシーンが、「デカ」がボブの体内に入るシーンによく似てるぞ。岩明均寄生獣』(1988~1995)も、パラサイトは宇宙生命体じゃなさそうだけど、影響は大きいだろう。

多田野伸明『70億の針』(2008~2010)は、タイトルが表すように、まさにオマージュを捧げてるね。これけっこういい作品で、宇宙に破滅を引き起こす存在と、それを防ぐ存在の争いに巻き込まれた、心に傷を持つ主人公の少女が、事件の最中、友達を得、傷を乗り越え、また同じく心が傷ついた少女を救うといった、なかなか感動作だ。

まあこれで、読書好き、特にSFを好むようになったんだけどね。ああでも、施川ユウキ『バーナード嬢曰く』で取り上げられてた、やっぱり人気の高い作品、レイモンド・F・ジョーンズ『合成怪物』(通称ゴセシケというらしい)は、読んでないや。

20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)

20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)

 
星からきた探偵 (冒険ファンタジー名作選 18)

星からきた探偵 (冒険ファンタジー名作選 18)