或る独りのろまんてぃすと

思いついたことを、支離滅裂に書いてる

「私」に会ってしまってしまったな

菊地秀行魔界都市ブルース』シリーズはいつから読んでるんだろ。最新刊『ゴルゴダ騎兵団』で都合56冊目か。高校生の頃は『吸血鬼ハンター”D”』は読んでた。夢枕獏『キマイラ吼』シリーズ、『闇狩り師』シリーズ、『魔獣狩り』シリーズも、高校生の頃から、というか、獏さんの新刊がなかなか出ないから、菊地先生の作品も読むようになったんだけど。
たぶん、『妖花の章』読んで、『双貌鬼』読んで、『魔王伝』読んで、『哀花の章』読んで、『夜叉鬼伝』は完結してからまとめて読んだんじゃないかな。リアルタイムで読んでなく、ほんと最初は、獏さんの新刊出る合間に読んでたから。
さて、魔界都市ブルースとは、198X年、直下型超巨大地震〈魔震〉により、外界から切り離され、武装犯罪者集団、妖獣、魔術師、怪異現象のはびこる魔界都市と化した新宿を舞台とする一連の物語。

主人公秋せつらは、人知を超える美貌を持ち、漆黒のコートを纏い、老舗せんべい店を切り盛りしながら、新宿で行方不明者の捜索を行う、秋ディスカバー・マン(ADM)なる人捜し屋を行っている。1000分の1ミクロンのチタン合金製の妖糸を操り、人に対し、本人の意思にかかわらず身体を操作し、苦痛を与え、切断する、恐るべき技の使い手である。多重人格者で、普段は一人称に「僕」を用い、茫洋とした人のいい性格。しかしこのときでも、敵対するものには平気で拷問にかけたり、殺したりする。相手が強敵の場合、苦戦を強いられる時もあるが、そのようなときに人格が変わり、一人称が「私」となり、極めて非情で冷酷な雰囲気をまとい、技の切れも数段上がり、敵を倒す。

このときの決めぜりふ「おまえは、私に会ってしまった」。これが出ると、それまでどれだけ大風呂敷の広がった物語でも、残り数ページで解決してしまうという、まるで水戸黄門の印籠か、遠山の金さんの桜吹雪か、というほどの必殺技である。

さらにせつらの協力者として、一癖も二癖もある人物も多数登場する。

特に、ドクターメフィスト、せつらに勝るとも劣らない美貌を持ち、純白のケープを纏い、死人すら蘇らせるとの噂もある魔界医師。でも同性愛者の気があり、「私」状態のせつらに惚れている。普段の「僕」状態のせつらには、辛辣な言葉を浴びせることもあり、それをせつらが受け返すやりとりも楽しい。あと、街の中華料理店でタンメンをすすってたりとか、その美貌にそぐわない行動も。

他にも、新宿一の情報屋、でもデブでいつも「ぶうぶう」言ってる、外谷良子。「スパイン・チラー(背筋を凍らせる)」の異名を持ち、50口径マグナム弾を12発も装填できる巨大拳銃「ドラム」と古代格闘術「ジルカ」を武器とする、新宿署刑事屍刑四郎に、吸血鬼で「魔気功」の技を持つ、夜香。この屍と夜香のコンビが活躍する作品もあったりする(『夜凶街』『屍凶街』)。チェコ第一の魔道士、ガレーン・ヌーレンブルグ。でも『夜叉姫伝』で死ぬ。もったいない。その後登場する、ガレーンの妹でチェコ第二の魔道士、でもデブの、トンブ・ヌーレンブルグ。ガレーンに造られた、ガレーンの従者で、ガレーンの死後はトンブに(渋々)仕える、人形娘。

と、まあ愉快な登場人物、さらに同じ魔界都市新宿を舞台にした、せつらの登場しない作品(直接せつらの名前は出ないが、「西新宿のせんべい屋」と、存在は示唆される)も多くあったりして、このキャラとこのキャラが共演したらとか、いろいろ妄想して楽しめるよ。わたしは、『魔界創世記』のドマが、ブルースに出たらいいのにな、と思ってるけど。でもドマは、二重人格というところがせつらとかぶるからなあ。ちなみに技は、クトゥルー神話の邪神とかを召喚したりする。

わたしは、若いときから冬場になると、黒コートを着込むんだけど、これもせつらの影響。でも、『マトリックス』(1999年)のコスプレかと言われたことがある(笑)。いや違う。コスプレかもしれないけど、マトリックスじゃねーよ。と言いたかったが、説明が面倒なんで黙ってたけどね。

とりあえず、おすすめの一冊。

魔界都市ブルース 闇の恋歌 (ノン・ノベル)

魔界都市ブルース 闇の恋歌 (ノン・ノベル)

 

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わたしは当時サインをいただきました(笑)