しっぽを立てろ~『ガンバの冒険』あるいは『冒険者たち ガンバと15匹の仲間』
子供の頃、読書好きになったきっかけのことを書いたけど、
この記事で書いたのは海外作品だったんで、今回は日本の児童文学作品で。
さて、1975年放送の『ガンバの冒険』というアニメがあって、でもわたしが観てたのは、たぶん再放送でやってたぶんだと思うが、これが子供心にたいへん印象に残る作品であった。
町育ちのネズミのガンバとボーボは、港で開かれる船乗りネズミたちのパーティに忍び込む。そこに、傷を負った島育ちのネズミ、忠太が現れる。彼の住む島では、巨大で残忍な白いイタチのノロイとその配下のイタチたちに支配され、島ネズミたちは命の危険にさらされているという。忠太はノロイを倒すための仲間を募るが、船乗りネズミたちも、ノロイの恐ろしさは噂で聞いており、誰も名乗りでない。しかし義憤に駆られたガンバは忠太の島に向かうことを決意し、ガンバの熱意に心を打たれた船乗りネズミ、ヨイショ、ガクシャ、イカサマ、シジンも仲間となり、ノロイとの戦いに挑む。
アニメ史上最凶のボスキャラともいわれるノロイとの、最後の死闘はまさに壮絶。かつての子供向けアニメは、現在よりずっと暴力描写も容赦ない。それは子供向けだからといって子供だましにはしないという、作り手の矜持だろう。
しかし、原作『冒険者たち ガンバと15匹の仲間』は、それを超える壮絶な描写がある。
アニメでは、ガンバを含め7匹のネズミがメインだが、原作では16匹出てくる。
たとえば、アニメではガンバの相棒はボーボだが、原作はマンプクというネズミ。ボーボももちろん登場するし、原作のクライマックスでは予想外の活躍をみせるが… まあアニメ化に際して、多すぎるキャラクターを整理したのだろう。
また、登場キャラクターの数匹が戦いの犠牲となって、命を落とす。したがって、アニメよりやや悲壮感が漂うラストになっている。そのラストシーンの挿絵もまたいいんだよ。
やっぱり、このハードな描写がずっと印象に残り、生き抜くためには命を賭ける、ということをわたしはこの作品から学んだ。いや、逃げることも大事だよ。ただ、単に逃げるんじゃなくて、一旦退いて体勢を立て直し、再び立ち向かうための力を蓄えるのも大事なんじゃないかな。
で、2015年、フルCGアニメで『GAMBA ガンバと仲間たち』のタイトルでリメイクされた。
不朽の名作である。
どうでもいいけど、アニメのテーマソング、OPにはアホウドリ、EDにはカモメが歌詞の中に出てくるけど、本編で実際ガンバたちの助っ人になるのは、ツブリをリーダーとするオオミズナギドリである(笑)
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